エレウシスの秘儀メモ
まだ途中
■参考文献
■参考文献
古代ギリシアの「巡礼」 : エレウシスの秘儀入信を中心に
齋藤 貴弘, 四国遍路と世界の巡礼, vol.3, p.56-63, 2018.03.24.
世界宗教史 1
ミルチア・エリアーデ著、荒木美智雄・中村恭子・松村一男訳 1991.6.20筑摩書房
■神域
場所:アテナイ近隣(20km程度)
アテナイ中心部~エレウシスまで「聖道(ヒエラ・ホドス)」で結ばれている
起源:紀元前15世紀
~~紀元前7~6世紀にエレウシスがアテナイに併合~~
紀元前6世紀アテナイ僭主ペイシストラトスの時代にさらに権威が増している
テレステリオン(秘儀堂)エレウシスにたっている
最終的に3000人ほど収容可能
⇔アテナイのエレウシニオン
■秘儀の目的
一般的な古代ギリシア人の死生観(ホメロスなどにみられる)
…不死なる神⇔死すべき人間
地上においても「空虚な影」
冥界では影のような亡霊となる
エレウシスの秘儀
…普通の死者と異なり、よりよい世界で過ごすことができる
「幸いなるかな、地上にある人間の身にしてこれを見し者は。…」
→祭儀を「見る」ことで、死後至福状態を享受
薄暗い死後の世界にあっても「美しい光」に包まれる
「この世のような」光、つまり生前と同じような生活ができる
生前の記憶を保持し、影のような亡霊にならずに済む
■起源
娘コレー(ペルセポネ)が冥王ハデスに攫われ、
人間の老女に身をやつして失意のうちにさまようデメテルが
エレウシスの王の一人であるケレオスの家で歓待される。
娘と再会したのち、デメテルはエレウシスに賜物を二つ授ける。
①穀物(麦)
②秘儀の伝授
→のちに、アテナイはこの伝承に基づき、
デロス同盟諸市に対し、エレウシス(=アテナイ)に小麦と大麦の初穂奉納を義務付ける
その他諸都市にも同様に初穂奉納を奨励する民会決議を実施
■入信資格
・殺人を犯していない
・ギリシア語が話せる
・入信料15ドラクマを支払う(小秘儀・大秘儀あわせて)
!!男性・女性・奴隷・外国人を問わない!!
■禁忌
「語られたこと(legomena)、行われたこと(dromena)、見せられたこと(deiknymena)」の口外外禁止
!!破った場合は死罪!!
■神官団
重要な決定は民会を通じ、アルコン・バシレウスの管轄
↓
実質的には宗教的名門の以下2氏が掌握
①エウモルピダイ氏族(ゲノス)
…秘儀開示役(ヒエロファンテス)
②ケリュケス氏族
…再列を先導するたいまつ持ち(ダイドゥーコス)
※アテナイがエレウシスを統合した際に、アテナイ側の管理的要素として付け加えられたか。
※エウモルポス…デーメーテール讃歌に言及あり。エレウシス秘儀の初代司祭とされる(コロノスのオイディプス)
■神聖休戦
アテナイは、大秘儀・小秘儀ともにそれぞれ55日間の神聖休戦を発布
エレウシスの秘儀の神聖休戦は、「スポンダイ」
休戦を告げる使者は「スポンドフォロイ」(エウモルピダイとケリュケスが担当)
■入信儀礼
(1)小秘儀(2月~3月ごろ)、(2)大秘儀(9月~10月ごろ)に参加。
(小秘儀は任意参加)
翌年以降、再び入信儀礼に参加することで「エポプテス」という高位入信者となる
(1)小秘儀
…アンテステリオン月(2月~3月ごろ)に実施
アテナイ中心地南東部を流れる、イリッソス川付近「アグライ」の聖所にて(詳細場所不明)
「予備的入信儀礼」が行われる。
・密議伝授者(ミュスタゴーゴス)の式で断食・浄め・供犠を実施
(2)大秘儀(テレタイ)
…ボエドロミオン月(9月~10月ごろ)に実施
014日 : 大秘儀の前日
エレウシスの聖所から聖秘物(ヒエラ)をエフェボスたちが中心市に移送
①15日 : 初日(アギュルモス)
ヒエロファンテスが触れ役に大秘儀の開始を布告させる
供犠の執行
②16日 : ハラデ・ミュスタイ
(①?) 入信者たちは、ファレロンの海岸で供犠用の子豚とともに沐浴
(子豚はアテナイで供犠)
③17日 : エピダウリア
遅刻者を待ち受けるための予備日
(アスクレピオスが大秘儀に遅刻したことに由来)
pannychis(アスクレピオスのための夜通しの祝祭)
二度目の供犠(執政官・王(アルコン・バシレウス)とその妻による)
④18日 : 休息日
(あるいは④エピダウリア祭の実施)
⑤19日 : エフェボイと神官団、役人団が聖秘物に随伴してエレウシスに入場。
⑥20日 : ・イアッコス祭神像とともに、入信者たちが聖道を通りアテナイのエレウシニオン~エレウシスへ行進。
(⑤?) 先頭に、聖秘物を持つ女司祭
入信者・随伴者のスタイル:ギンバイカの冠をかぶり、羊毛の撚糸を結び付けたギンバイカの枝を持つ
・途中で、エレウシスから来たエフェボイと合流
・中盤のレイトイで、クロコシスの儀礼を受ける※日没までに!
…サフラン色のリボンを入信者の右手と左足に結び付ける(魔除け。。)
以降、たいまつを持って行進
・ゲフュリモス
…ケフィソス川にかかる橋を渡るとき、入信者たちは沿道の観衆からからかいの言葉を投げかけられる
(沿道の観衆…仮面をつけた男たちによる罵倒(猥雑なもの)
・日没近くにエレウシス(聖域の外庭)に到着!
・イアッコス祭神像の到着を祝う盛大な歓待、
カッリコロンの井戸でデメテルとペルセポネを讃えるダンス
⑦21日 : 日中・休息、夕方より秘儀(テレタイ)開始
テレステリオンに入り、秘儀の開示を受ける。
初回入信者たちが去った後で、エポプテイアを実施
…エポプタイ(2回目以降参加の入信者)にはさらに特別な光景が開示される。
(ここで断食?)
⑧22日 : 牛が犠牲獣として公式にささげられる
入信者が各々豚などをデメテルとコレーに捧げる
神域の前庭で、入信者・未入信者が一緒に実施
⑨23日 : プレモコアイ(最終日)
プレモコエと呼ばれる容器2つに入れられた水が、
一方は西へ向け、もう一方は東に向け、地面へ空けられる
入信者たちはアテナイへ向けて帰国のため行進
⑪24日 : エレウシニオンで評議会が開催
■秘儀の開示は、何が行われていたのか
・デメテル・ペルセポネ二柱の女神の来臨
・入信者は二女神の神話の模倣を実施
デメテルと同じく、たいまつを手にしてコレーを探す
(斎藤氏は行進の途中でたいまつを手にする=これが神話の模倣って書いてるけど、そうなのかな。それっぽいけども)
・キュケオーンをのんでいた?
・天を見上げて「雨よ振れ!」大地を見て「受胎せよ!」(プロクロス『ティマイオス註解』)
・エポプタイは、「荘厳な沈黙のなかで」一穂の穀物を示される
「夜、輝く炎のもとで偉大な、言葉にしがたい密儀を祝っている最中、最高祭司は叫ぶ。
『聖なるブリモは神聖な御子ブリモスを産めり!』。
すなわち、力有る女が力有る男を産み落としたというのである。」
(ヒッポリュトスphilosophumena)
※穀物は入信者がみずから持参?
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