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聡い心もつペルセポネ

伝令神ヘルメスが、ゼウスの命で冥界へと赴き、ハデスよりペルセポネを地上へ取り戻さんと説得するシーン。
すると 地下 に 住む 者 たち の 王 ハーデース は 眉 を 上げ て 微笑み〔† 九 四〕、 神 々 の 王 ゼウス の 命 に 従っ た。 し て ただちに、 聡い 心 もつ ペルセフォネー に 命じ て 言っ た。
 
ホメーロス. ホメーロスの諸神讚歌 (ちくま学芸文庫) (Kindle の位置No.372-374). 筑摩書房. Kindle 版. 
「畏き妃」と訳されている342行目、このペルセポネに掛かる「畏い」δαΐφρονι(daiphron)という単語は、
主に男性の指導者や戦士に使われる単語であり(ホメロスでも出てくる)、
男性的で戦いの心をもつ、いさましい、といった能動的な意味をもつエピテトンである、
ということなんですけど

えーーーー!!!ペルセポネさま戦士のような勇ましさかしこさであるってことですか!!!!えーーーーー!!!

この時点まで、ペルセポネ本人に関する描写は少なく、
攫われるときに父神ゼウスに助けを求める声をあげる程度、その程度だったんですよね。
ここにきて、ハデスのかたわらで母を恋い慕いながらも「恐ろしい謀略を思いめぐらしている」(345行目)急に個が立ち始めたペルセポネさまであり、
正直この「恐ろしい謀略」がインパクト大すぎていたのだけれども
むしろそのあとに、こんなペルセポネの勇ましさ、胸に持つ強い意志、攫われて泣いている乙女ではもはやない、凛々しい面をこの単語一語で表されてしまう、、、
デメテル讃歌を作った人の言葉選びの『ヤバさ』を全力でぶつけられてしまい、
圧倒されてしばらく呼吸の仕方を忘れてしまった、、、

むしろ「恐ろしい謀略」の箇所は、テキストが破損しており、単語をおぎなって何通りもの解釈があるらしく、Foleyは『デメテル』を主語に持ってきた解釈をしていたりするので、これがペルセポネのことだとは言い切れないみたいなんだけど、
(いや、、文脈的に考えてペルセポネであると思う、、私もそう思う)

それにしても、「恐ろしい謀略」ってなんだろうね。
会話の中では「(エレウシスの秘儀は死後の世界の幸福を約束するものなので、それにのっとって)人間を全部生き返らせてやる、死なせない、とか…?」という感じだったけど
ここに関しての注釈は特になかったので、謎のまま…。
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